作品概要
タイトル:スキップとローファー
著者:高松美咲
出版社:講談社(アフタヌーンKC)
巻数:1~3巻(以下続刊)
本人も気づかないうちに周りをほぐす、天然しあわせインフルエンサー・ 岩倉美津未の、愉快で楽しい高校生活。
あらすじ
東京の高校に通うために、過疎化の進むド田舎から単身上京してきた新1年生・岩倉美津未。
自らを「小さな町に奇跡的に生まれた神童」と評し、実際に勉強は出来るものの、どこかズレててヌケてる美津未ちゃん。
入学式当日に駅で迷ってさっそく遅刻し、全校生徒の前で担任の先生にゲロを吐き自己紹介ではスベるなど、思い描いていたプランから程遠い散々なスタートを切ることになってしまいます。
田舎と都会の人間関係のギャップに戸惑いつつも、持ち前のポジティブさと天然っぷりで周囲の人たちを無自覚に優しい気持ちにしながら、徐々にお友達を増やしていくのでした。
感想(ネタバレ度:中)
我が子を見守るが如く
美津未ちゃんと愉快な仲間たちの、楽しい高校生活が描かれたこの作品。
実は2019年のマイベスト10に選出したくらい、面白くてお気に入りの作品だったりします。
ただ、具体的に何が面白いのかと聞かれると、説明に困るタイプの作品でもあります。
まず言えるのは、主役の美津未を筆頭に登場人物がみんな良い子でみんな可愛いこと。
表紙だけ見ると、
この三白眼の子が可愛い…のか?
と思われるかもしれませんが、単純に見た目の話じゃありません。
可愛いといっても
ふおぉぉ!
○○たそ激萌え~!
(*´Д`)ハァハァ
みたいな邪な感情とは違った、「みんな幸せになって欲しい」という親目線で感じる可愛さなのです。「可愛い」と言うよりも「愛おしい」の方がしっくりきますかね。
美津未やその友人だけでなく、大人も含めて嫌な人間が全くと言っていいほど出てこず、そんな人々が作り出す優しい雰囲気が本作の最大の魅力と言えるでしょう。
凡人代表ミカちゃん
そんな魅力的なキャラしか出てこない中で、特に私のお気に入りなのが江頭ミカちゃん。
最初は美津未を雑に扱っておきながら、美津未がイケメンと仲が良いと知るや一転して友達になろうとスリ寄ってくるという、ちょっとイヤなキャラとして登場します。
その後も何かと美津未に当たりが強かったりしますが、なんだかんだ根がマジメで良い子なので悪役になりきれないという小物感がたまらなく可愛いのです。
そんなミカちゃん含めて、ギャルっぽい見た目で誤解されがちな結月ちゃんや、真面目メガネ系優等生のまことちゃん、そしてタイプがバラバラなこれらのメンツを引き寄せた美津未ちゃんと、この仲良し4人組の掛け合いが私はたまらなく好きなのです。
俺は結月ちゃんとまこっちゃんのコンビが好きだな。
分かる。
でも、結月ちゃんと彼女を意識しすぎなミカちゃんのコンビも捨てがたいね。
この4人組の中でもちょっと微妙な立ち位置のミカちゃんが、それはそれでイジらしくて可愛いんですよね。私の中では「陽の主役・美津未」「陰の主役・ミカ」ってくらい存在感の大きいキャラになってます。
志摩爆弾
さて、そんな平和で呑気な作品ですが、ひとつだけ小さな爆弾を抱えています。
それは美津未と仲の良いイケメン男子・志摩くんの存在です。
この子自体は非常にいい子なんですが、なにやら複雑な家庭の事情があるらしく……。当然ながら他の登場人物たちも多少なりとも悩みやら何やらを抱えていて、それが作品の良いアクセントにもなっています。
ただ志摩くんに関しては、アクセントどころか下手をすれば作品の方向性を変えてしまう可能性がありそうで、その辺がちょっと心配ではあります。
それから、嫌なキャラが登場しないと書きましたが、今のところ唯一嫌なキャラと言っていいのが志摩くん絡みで出てくる、モデルの梨々華とかいう女性です。
一般人を見下してる態度もアレですが、何より見た目が気持ち悪い。
モデルなのでもちろん超美人という設定なんですが、整い過ぎてて周りから浮いていて
お嬢さん、世界観間違ってますよ?
と言いたくなる見た目です。
はっきり言って結月ちゃんやミカちゃんの方が万倍カワイイ。
まぁモデルってそんなもんでしょ。
確かに……。
現実でもスーパーモデルとか「ん?」って顔してるもんな。
あと気になるのは美津未ちゃんと志摩くんの関係がどうなるか、ですね。
最終的に2人がくっつくにしても、個人的にはあんまり恋愛色が濃くなり過ぎるのは勘弁してもらいたいです。
まとめ
良いところ
- 登場人物が善人だらけで雰囲気が抜群に良く、優しい気持ちになれる。
- 深刻に思い悩むような事件が(今のところ)起きないので気楽に読める。
イマイチなところ
- 平和過ぎて、人によっては退屈に感じるかも。