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山田果苗『東京城址女子高生』1~3巻感想 可愛く楽しく城址を学ぶ

タイトル:東京城址女子高生
著者:山田果苗
出版社:エンターブレイン(ハルタコミックス)
巻数:1~3巻(以下続刊)

城址(かつて城が存在した場所、城の跡)を求めて大都会・東京の街中を散策する女子高生たちを描いた、ちょっとアカデミックな城址めぐりコメディ。

 

あらすじ

ガサツでキレやすい女子高生・広瀬あゆりが、彼氏にフラれた怒りにまかせてゴミ箱に投げつけたペットボトルがリバウンドし、城址巡りが趣味の同級生・持田美音の頭部を直撃。
ケガ(たんこぶ)をさせたお詫びとして、あゆりは美音の城址巡りに付き合うことになってしまいます。

最初は全く興味が無かったあゆりでしたが、半ば強引に連れ回されるうちに普段何気なく通っていた場所もかつては城だったことを知り、徐々に城址めぐりに積極的になっていく……というお話です。

 

感想(ネタバレ度:中)

レッツ登城!

女子高生の趣味としては城めぐりでも十分に渋いと言える部類ですが、本作はさらに上をいく「城址×女子高生」という、激渋茶と砂糖菓子のような取り合わせです。

城址、つまり城の跡なので派手な天守閣などが出てくる機会は少なく画的にはかなり地味ですが、そのへんは女子高生の華やかさでカバー。
史実に基づいた歴史的考察はもちろん、サギソウ伝説や太田道灌の話のような文学的アプローチなど、多角的に城址を楽しむ知的な香りがする作品です。

こういう自分の知らなかった世界を覗くというのは楽しいものですね。勉強にもなりますし。
しかもそのガイド役が女子高生ですから言うことないです。

東京に住んでる人が読めば、おなじみの場所がたくさん出て来てさらに楽しめることでしょう。

 

1巻はウザキャラの掃き溜め

そんな知的で素敵な作品ではありますが、残念ながら主人公のあゆりは知的には程遠いキャラクターです。
単に勉強が出来ないだけならともかく、頭の中は男のことばかり。
行動原理の全てが「男」と言っても過言では無いあゆりの性質は、少々受け入れ難いと言わざるを得ません。

1ページ目から彼氏持ちであることが発覚。
フラれた後は合コンで男漁り。

と、とんでもない尻軽だな!

掲載誌「ハルタ」の読者層が分からないけど、オタク男子からは不評を買いそうなキャラね。

友達とも男の取り合いでギスギスしてるし。

俺が普段読んでる漫画の女子高生って、もっと可愛い生き物なんだけど…。

残念ながらリアルに近いのはこっちなんでしょうね。

あゆり以外の登場人物に関しても、1巻で特に顕著なんですが、不快に感じる人材がゴロゴロ出てきます
城址巡りという趣味を明らかに見下してる感を隠さないあゆりの妹や母親、あゆりと別れた直後に他の女子と付き合い始める元カレ、あゆりと彼氏を別れさせるために裏工作した女友達……。

タイトルに「女子高生」が付いている以上、どうしてもキャッキャウフフ的なものを期待せずにはいられないわけですが、1巻ではそんな雰囲気はほとんどありません。
そのせいで、面白いんだけどイマイチ読んでて乗り切れないというのが1巻の感想でした。

 

救いの女神・亜子ちゃん

しかしそんな不満点も、巻を重ねるごとに徐々に解消されていきます。
特に転機となるのが、2巻から登場する1年生の紺野亜子ちゃんの存在です。
この純真無垢で可愛い後輩の登場によって、一気に作品全体の雰囲気が明るくなったような気がします。
もう一人の新キャラである生徒会長の橋本紀沙ちゃんも、最初はイラッとしましたがかなり可愛いです。

あゆりもバカではありますが根は良い子ですし、城址巡りのおかげか少しづつ落ち着いてきて「男!男!」としょうもない恋愛観を口にすることも無くなります。

3巻まで来ると、1巻で不快に感じたキャラ達の出番はほぼ無くなってますし(妹もなぜか改心してる)、女子高生の日常コメディと城址ウンチクのバランスが個人的に理想に近い感じで、かなり面白くなってきました。

 

まとめ

良いところ

  • 女子高生と一緒に楽しく城址について学べる。
  • 女の子が可愛い。特に2巻あたりからの女の子同士の掛け合いが微笑ましい。

イマイチなところ

  • 1巻の雰囲気があまり良くなくてギスギスしている。
  • 東京在住でない人にとっては身近に感じる話題が無い。

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