作品概要
タイトル:売国機関
著者:カルロ・ゼン / 原作 品佳直 / 漫画
出版社:新潮社(バンチコミックス)
巻数:1~3巻(以下続刊)
列強の戦争に巻き込まれた緩衝国の戦後を舞台に、平和維持のために動く組織の活躍を描いた作品。
あらすじ
東の王国、西の連邦。
2つの巨大国家は激突し、その戦場となったのは間に挟まれた緩衝国・チュファルテク合同共和国。
終戦から1年後、どんな形であれ共和国に訪れた「平和」を死守すべく、特務機関「オペラ座」は暗躍する。
感想(ネタバレ度:低)
ロフスキちゃん頑張れ
「勝ち取った平和」を「全ての脅威」から死守するための特務機関である、軍務省法務局公衆衛生課独立大隊・通称「オペラ座」の活躍を描いた作品です。
タイトルの『売国機関』というのはこのオペラ座のことで、読む前は国家に仇なすけしからん組織を描いた作品かと思ってたら実際はその逆。
安保条約を受け入れて得た平和が気に入らない過激な連中から売国奴と罵られようが、あらゆる手段を用いても平和を死守する愛国心の塊のような人たちでした。
特に主人公でオペラ座の隊長であるヨランダ・ロフスキ少佐は、度が過ぎた愛国心というかかなり激しい性格をしていて、クールビューティーな見た目とゴキゲンな言動がとっても魅力的な女性です。
そんなキレやすい彼女が祖国のために、死ぬほど嫌いな連邦や王国の役人を相手に屈辱を飲んで愛想笑いを浮かべながら外交をする姿は思わず応援したくなっちゃいます。
いやぁ~
健気だねぇロフスキちゃん。カワイイよぉ?
あんたケツの穴に鉛玉ブチ込まれるわよ。
隊長以外にも女性が多く登場するのが特徴で、活躍するのも大体が女性。
そのおかげか、普段美少女が出てくるお気楽な漫画ばっか読んでる私にしては珍しく硬派な作品ながら、凄く読みやすい印象でした。
ただ、みんなタバコ吸うのはちょっとなぁ。
中二心をくすぐる会話劇
この作品でもう一つ特筆すべき点は、セリフ回しがカッコイイことです。
私が特に印象に残っているセリフがこれ。
かっけぇ~!
でも「畢竟」ってなんだ?
「結局」って意味みたい。
日常でも使ってみたいけど、絶対「は?」って言われるだろうな。
単体のセリフも良いですが、例えば嫌いな物をストレートに「嫌い」とは言わずに「ゴキブリと同じ程度には好き」と言うような、回りくどい会話や皮肉の応酬もカッコイイ。
こういうセリフや会話が生み出す、作品全体に漂う絶妙な中二臭さが何ともたまらんのです。
直接ドンパチする場面は少なくて政治的な駆け引きや裏工作がメインで地味っちゃ地味な内容ですが、そのぶん会話も多いわけで個人的にはそのへんも好きです。
まとめ
良いところ
- 可愛くてカッコいい女性が大活躍。
- もったいぶった、まわりくどい会話がカッコよくて中二心をくすぐる。
イマイチなところ
- 話がややこしいので新刊が出るたびに1巻から読み直さないと付いて行けない。
- 男女問わず登場人物がタバコ吸い過ぎ。