タイトル:のけもの少女同盟
著者:榛名まお
出版社:芳文社(まんがタイムKRコミックス)
巻数:全2巻
クラスにちょっぴり馴染めない「のけもの」な女の子たちが集う保健室を舞台に、そこで結成された部活の活動を描くコメディ4コマ。
ベストプレイスは保健室
クラスメイトから腫れ物扱いな病弱少女・桐原霞。
オタク趣味をバカにされ心を閉ざしたロリハーフ・熊代ニカ。
ツンツンした態度で周りを遠ざける一匹狼・川居すずめ。
コミュ障を拗らせたホラーマニア・倉持詠子。
様々な理由から友達がいない彼女たちが流れ着いた場所は、学校の保健室でした。
部活動が必修の学校で入部先のアテがない彼女たちは、合法ロリ養護教諭・千間院もものススメで新しく部活を作ることに。
「社会復帰部」改め「放課後文化研究会」を立ち上げ、友達を作って普通の生徒に復帰することを目指す彼女たちの学園ライフを描いた4コマです。
賛否両論ありそうな結末
女子高生の日常物らしい、ゆるふわな雰囲気に加えてキレのあるギャグを併せ持つ、可愛いながらも大いに笑える作品です。
さらには男キャラも父親と医者くらいしか出て来ないなど、私が萌え4コマに求めるものを全て兼ね備えた、とても素晴らしい内容でした。
…最終話までは。
さて、ここからは完全にネタバレになるのでご注意ください。
問題の最終話で、いったい何が起こるかと言うと…。
主役である霞ちゃんが死にます。
病弱でしょっちゅう倒れる霞ちゃんでしたが、単なるギャグやキャラ付けではなく本当に難病を患っており、高校生活を全うすることなく最終話で死んでしまうのです。
うおぉぉぉ!!!
なんなんだよ! 認めらんねーよこんなの!
これはまあ……
賛否が分かれそうな終わり方ではあるわね。
老化を超越したロリ教師というファンタジーな存在の傍らで!
けなげに病と闘う乙女に、無慈悲な死という現実を突きつける!
あんまりじゃねーか……。
病弱キャラは別に珍しくないけど、ほんとに死んじゃう萌え4コマは珍しいわね。
とはいえ、主役の死亡エンドというシビアな結末ながらも必要以上に悲壮感が漂うようなものでは無く、ホロ苦さを残しつつも笑いに包まれた爽やかな読後感で、見方によっては素晴らしいエンディングでもあります。
この終わり方自体は私も嫌いじゃないですし、むしろ好きな部類かもしれません。
ただ、日常系の萌え4コマの終わり方として相応しかったかというと少々疑問が残ります。
もちろんどんなエンディングにするかは作者さんの自由なので好き勝手やってもらえばいいんですが、やはりそれぞれのジャンルに対して求められている終わり方というものはあるはず。
そしてその大枠から逸脱したものには、多少なりとも拒否反応が出てしまうのも事実です。
スプラッタなホラー作品のエンディングが、バケモノと手を繋いで踊り出すハートフルな終わり方だったら興ざめですし、逆にハートフルな子供向け作品がジェノサイドなエンディングだったら保護者界隈で大炎上でしょう。
それと同じように、この作品に対して疲れた社会人の心を癒す「きらら系萌え4コマ」のひたすら優しい世界を求め、純然たるハッピーエンドを期待して読んでいた私としては、その期待を裏切られたという意味では受け入れ難い終わり方でした。
だけどやっぱり良い作品
少々批判めいた感想になってしまいましたが、前述の通りエンディング自体は悪いものではないですし、考え方によっては日常系4コマでこれをやったことに意味があるのかもしれません。
そもそも2巻の帯に「今までのギャグ漫画にない衝撃のエピローグ」と書いてありますし、1巻の時点からフラグは立っていたので、この結末に対してある程度の心の準備は出来るはずです。
それにもかかわらず取り乱すのは豆腐メンタルな私ぐらいのもんで、普通の人ならば問題なくこの結末を受け止められるでしょう。
可愛いくて面白い、そして賛否両論なれど一味違うエンディングと、総合的に質の高いコメディ4コマなので、ぜひ読んでみてください。