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かきふらい『けいおん! Shuffle』1巻感想 前作の壁と美化される記憶

作品概要

タイトル:けいおん!Shuffle
著者:かきふらい
出版社:芳文社(まんがタイムきららコミックス)
巻数:1巻(以下続刊)

伝説的な学園ガールズバンド4コマ「けいおん!」のシリーズ最新作。

 

あらすじ

姉の高校の文化祭に遊びに行き、そこでたまたま見かけたバンドの演奏を見て心奪われた女子高生・佐久間紫(さくま ゆかり)。
その翌日、さっそく幼馴染の清水楓(しみず かえで)と、席が近かった澤部真帆(さわべ まほ)を引き連れて、軽音部(は無かったので同好会)の門を叩くのでした。

 

感想(ネタバレ度:低)

思い出は美しく

「けいおん!」といえば、今さら語るまでもない2000年代を代表する大ヒット作品です。あの当時の熱狂ぶりは凄まじく、経済効果も何百億と言われるなど社会現象を巻き起こしていました。
しかしその功績の全てはアニメのおかげといった風潮であり、原作原理主義の私は部屋の隅で漫画本を抱きしめながら血の涙を流したものです。

それはともかくとして、そんな偉大な作品の名を冠するシリーズ最新作ですから、読者としても自然と期待は高まります。
もちろん作者さんも出版社もそんなことは百も承知で、それなりの自信と覚悟をもって本作を世に送り出したと思いますが……。

率直に言うと、残念ながらその期待を上回ることはありませんでした

これが完全新規のタイトルであれば、日常4コマの平均点は余裕で超えた良作として、ある程度の満足感を得ていたと思います。
ただ、「けいおん!」ってことでハードルが上がり過ぎていたので、最初に思ったのが「けいおん!って、こんなもんだったっけ?」でした。良い作品であることは間違いないんですが「けいおん!」の名を背負わせるには、少々荷が勝ち過ぎたかなぁ…って印象です。

「けいおん!」って、そんな気張って読むもんじゃねーだろ。
ゆるく行こうぜ?

だいたいオッサンは過去を美化し過ぎなんだよね。

思い出を反芻するしか能が無いジジイだから。
そっとしといてやりなさい。


それから運が悪いというか間が悪かったのは、同ジャンルで今一番アツい某4コマ漫画と発売日が同じだったことです。
もしかしたら、あえてそういう売り方をしたのかもしれませんが「勢いのある次世代スーパースター候補」と「現役復帰した往年のレジェンド」の対決みたいな構図になってしまいました。

その結果、本来ならば比べなくてもいいものと比較してしまうことになり、それも若干マイナスに働いたかなぁという印象です。あんまり他の作品と比べるのは好きじゃないんですが、あまりにも某4コマが面白過ぎたので……。

 

冷静に見ると良い作品

情緒的なことは置いといて、もう少し冷静に内容に触れると、上記の通り4コマとしては平均水準以上の良作です。
女の子は問答無用で可愛いし、ギャグもキレで勝負する感じでは無いけど安定感があって面白い、そして「きらら系」らしく優しい雰囲気も約束されていると、特にこれと言った不満が無いです。

ひとつ気になったのは、思ってた以上に百合濃度が濃かったこと。
前作では全く気にならなかったんですが、今回はちょっとクドさを感じてしまいました。

年取って脂っこいのがダメになるのと同じ事だろ。

年取って百合っこいのがダメになる?
聞いたこと無いわね。

私は百合自体は大好きなので、本来ならばこんなこと気にならないはずなんですが……たまたま何か食い合わせが悪かったんですかね。

多くの人が気になるであろう「けいおん!」との繋がりですが、前作のキャラがたまーに出てきたりしますが直接的な繋がりはほぼ無いので「けいおん!」を知らない人でも全く問題なく楽しむことが出来ます
逆に言えば前作からのファンにはちょっと物足りない感じはしますが、このへんは「あちらを立てればこちらが立たず」で匙加減が難しいでしょうね。

 

まとめ

良いところ

  • 日常系4コマとしてクオリティが高い。
  • シリーズ初心者でも問題無く楽しめる。

 イマイチなところ

  • どうしても前作「けいおん!」と比較してしまう。
  • キャラは一新されたけど新鮮味は薄い。

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