作品概要
タイトル:ガールズ・ゴー・アラウンド
著者:千田衛人
出版社:スクウェア・エニックス(ガンガンコミックスJOKER)
巻数:全2巻
ループ現象に巻き込まれた主人公が、その原因である女の子の悩みを解決していくSF風味のラブコメディ?
あらすじ
無気力で「面倒事が嫌い」とか言ってる割には、困ってる女の子を放っておけない性格の高校男子・狭山京輔(さやま きょうすけ)。
そんなラブコメでよく見かけるタイプの主人公である彼が、ある日「同じ日を何度も繰り返す」というループ現象に巻き込まれていることを自覚します。
ループ現象の原因は、悩み多き年頃な女の子たちの「後悔」で、ループを自覚しているのは女の子本人と京輔のみ。
後悔の原因を解決しないとループから抜け出せないことに気付いた京輔は、まるでカウンセラーのごとく華麗に女の子の悩みを解消していくのでした。
感想(ネタバレ度:中)
ただのラブコメにあらず
ループ現象のきっかけとなる女の子の悩みは、大人から見れば思わず「く、くだらねぇ…」と言っちゃいそうな、しょうもないものばかりです。
これが男子相手だったらブン殴って「甘えんな小僧!」で終わりなんですが、思春期の乙女のハートはガラス細工ですからね。しょうがないよね。
まぁ逆にあんまり深刻な悩みだと読んでて気が滅入るので、これはこれで助かるとも言えますが。
そして悩みを解決した後は、当然のように女の子たちは京輔に好意を抱くことになります。
このパターンを繰り返して京輔がハーレムを築いていくのかな…なんて思ってたら、1巻のラストで予想外の展開が待ってました。
これ以上はネタバレになっちゃうのでやめときますが、1巻丸々がプロローグに過ぎなかったのです。
表紙を見る限り、ただのヌルいハーレム系ラブコメかと思ってましたが、良い意味で予想を裏切られました。
太い脚の女子高生
その表紙についてですが、足フェチにして脚フェチでもある私にとって、女の子の脚に釣られて漫画を表紙買いするというのはよくあること。
この作品もまさにそのパターンでした。
ふとももも露わに、はしたない格好で浮遊する女の子が2人。
ん? えっ……
は、はいてない?
カバー下でこの表紙について言及してますが、それによるとどうやら見せパンをはいてるらしいですが……。
見せパンなのに見えない方がエロいだと……
クソッ、理解が追い付かねぇ!
脚と言えば触れないわけにいかないのが、京輔が最初に攻略した悩める乙女・椎名朋花(しいな ともか)です。
表紙の一番上の子なんですが、彼女の悩みは時間をループさせるほどの、それはそれは深刻なものでございまして…。
彼女の悩みは!
なんと脚が太いのを気にしていたのです!
……ぽかーん。
ね?しょうもないでしょ?
詳しく書くと、陸上部で以前から脚が太いのを気にしていた朋花は、好きな人から「脚、太すぎじゃね?」と言われたのがきっかけで陸上を続けるのが嫌になり、高校では陸上部に入りませんでした。
しかし陸上への未練が原因となり、「部活に入らない」と決めた日を延々とループする現象が起きたというわけです。
詳しく書いてもやっぱりしょうもない理由ですが……。
こんなので世界がループして時間が進まないなら、私は未だに中学生あたりでグルグルしてそうです。
というか朋花の場合どちらかというと脚よりも、走るのに明らかに向いてなさそうな大きなおっぱいの方に注目が集まりそうなもんですけどね。
周りの男子達に、
お、おい、見ろよ!
あの子めっちゃ揺れてんぞ!
やっべ!
エロすぎじゃね?
なんてイヤラシイ目で見られて陸上を嫌になった、とかの方が説得力があった気がします。
それはともかく、京輔のキザったらしい言葉でふっきれた朋花。
脚を隠すためにスカートの下に履いていたジャージを京輔の目の前で勢いよく脱ぎ、「どうだ!」と生脚を見せつけてきます。
うーん、太いか?普通?
よくわかりませんね。いったい何を悩むことがあるのでしょうか。
だいたい女子高生の脚なんてモデルみたいに細いよりも、ちょっと太いくらいでちょうどいいんです。
そんなことより勢い余ってジャージと一緒にパンツも脱げたりは……
してませんか。してませんね。
いや、待て。
この震え方……脱げてる可能性アリとみた!
脱げてねーよ。
これ以降、一転して私服でも大胆に脚を出すファッションに変わってるのが面白いところです。
健康的で非常によろしいではないですか。
そして誰も幸せになれなかった
しょうもないことをダラダラ書いてしまいましたが、ハーレムラブコメの皮を隠れ蓑にしながら入念に準備を整え、ラストに急展開を見せて驚かせてくれた1巻のラスト。
こっからが本番ということで2巻を楽しみにしていましたが、発売前に2巻で完結という情報を目にしてしまいました。
「あの展開から2巻で完結に持って行くのは無理があるような。まさか……」と不審に思いながら本屋に行き2巻を手に取ると、これが凄い不自然なブ厚さで嫌な予感が。
いざ読んでみると危惧したとおり、どう考えても打ち切りっぽい終わり方でした。
何にも解決しないままで、しかもまさかのバッドエンドとは……。
2巻から2週目の高校生活が始まるんですが、たしかに読んでてちょっとダルかったのは否めません。
1巻のラストから怒濤の展開を期待していたこともあって肩透かしをくらったというか。
しかしなにも打ち切りにするこたぁないでしょうに。人気が無かったんでしょうかね?
打ち切りのあおりで、結果的に何のために出てきたんだか分からない存在となってしまったSF研のお姉さま方。
黒タイツとオーバーニーソが魅力的だったのにもったいない。
彼女たちの活躍も見たかったです。
まとめ
打ち切りが決まって全2巻でまとめるために、苦渋の決断でバットエンドにせざるを得なかったという感じの残念な終わり方でした。
途中までは面白いんですが、はやり最後がアレなだけにオススメも出来ないのが辛いところです。
いや、あれはあれで1つの結末としては面白いので、読んで損は無いとは思いますが。
言うなれば選択肢でルートが分岐するノベルゲームのバッドエンドだけを見せられた感じです。なのでバッドエンドマニアにはオススメ。
なにはともあれ、色々事情はあるんでしょうが、できれば天寿を全うさせてほしかった作品でした。