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『GIANT KILLING』30巻 感想 | 栄光時代は刹那の輝き

タイトル:GIANT KILLING
著者:ツジトモ
出版社:講談社(モーニングKC)
巻数:30巻(以下続刊)


毎年残留争いに巻き込まれる弱小サッカークラブが、かつて所属していたスター選手を監督に迎え再起を図る様を描いたサッカー漫画。その30巻。

 

達海監督、まさかの現役復帰?

半ば惰性で読んでいた時期もあり、何度か「もう買うのをやめよう」と思ったこともあった『GIANT KILLING』ですが、椿の代表デビューあたりから盛り返してきて今回の30巻は過去最高の素晴らしい内容でした。
漫画で目頭が熱くなったのは、かなり久しぶりな気がします。


達海が監督就任後、順調に成長していたETUでしたが、ここにきて公式戦3連敗。
不穏な空気が漂うなか達海が取った行動は、なんとまさかの現役復帰宣言でした。
「おいおい、ここで本当に現役復帰なんてしたら、さすがに読むのやめるぞ」なんて不安になりましたが…。

余計というか、失礼な心配だったようです。

 

 

監督が伝えたかったこと

達海の入団テストと称して、達海&コーチ陣(withジーノ)vs 現役選手でミニゲームが始まります。

開始直後は現役さながらのプレーで周囲を沸かせた達海でしたが、時間が経つにつれ達海を引退に追い込んだ膝の古傷が痛み出し、最後の方は立っているのも難しい状態に。

結局ゲームは、あたりまえですが6-1で現役組の勝ち。
もっとも、大事なのは勝敗ではなく達海が選手たちに伝えたかったのは、好きなサッカーで飯を食っていける「プロサッカー選手」でいられる時間は限られているということ。

もともと寿命の短い職業だし、達海のように明日ケガをして引退せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれない。
毎年残留争いをしていたチームがそこそこ勝てるようになり、現状に満足して甘えが見え始めていた選手達に対して、達海の体を張ったメッセージでした。

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出典:ツジトモ 著『GIANT KILLING』30巻 / 講談社

普段は飄々としている達海が悲壮感を漂わせながらプレーして、「もっと選手でいたかった」と心情を吐露する姿には、選手達も思うところがあったようで。

しかし今回の話はプロのサッカー選手に限らず、すべての人に言えることなんですよね。ぬるま湯の現状に浸かり日々を無為に生きている私も、何だか頑張らないといけない気分になりました。

いい歳こいて、いつまでも萌え漫画にハァハァしとる場合じゃない気がしてきた…。