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クライフを中二病呼ばわりの高校サッカー漫画『夕空のクライフイズム』1巻 感想

夕空のクライフイズム (1巻)
小学館 ビッグコミックス
著者:手原和憲

「美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つことを恥と思え」
20世紀最高の選手の1人と言われ、監督としても成功を納めたヨハン・クライフの志を掲げる中堅高校サッカー部を、マニアックなサッカーネタ満載で描いたコメディチックなサッカー漫画です。

 

新監督はクライフかぶれ

この作品の舞台となるのは、神奈川の中高一貫の私立高校・木登学園サッカー部。そこそこ強いものの、そこそこの壁をなかなか超えることができない中堅高校です。
ここの監督が志向するのはリスクを極力排除した、チャレンジすることよりもボールを失わないことを重視するサッカー。ゆえに入る確率の低いミドルシュートや強引なドリブル突破などは厳禁なわけですが、そんな中で監督の指示を無視してボールを持てばドリブルを仕掛ける、万年ベンチの一芸ドリブラー・今中が本作の主人公です。

今中が公式戦に出ることなく引退を迎えるであろうことを覚悟していたある日、茂木監督が他の高校に引き抜かれて突如チームを去ってしまいます。代役として監督に就任したのは、中等部で今中たちを指導していた雨宮監督でした。
ハゲで眼鏡の温厚な雨宮監督が定めた目標は「最高の引退試合」をすること。それを聞いた選手たちは当然のことながら全国制覇を想像したわけですが、雨宮監督の真意は「良い試合をして華々しく散る」というものでした。
全国制覇なんてどう考えても現実的ではないこのチーム、いずれどこかで負けるんだから勝ち負けは度外視で、攻めて攻めて攻めまくる楽しいサッカーをしようというわけです。勝敗よりも美しさにこだわる、作品タイトル通りの「クライフイズム」ってやつが本作のテーマです。

 

国内から海外まで 豊富なサッカーネタ

私の個人的な考えとしては、応援しているチームが良い試合をして負けるくらいなら、塩試合だろうが誤審だろうが何でもいいので勝ってほしいと思うのでクライフイズムにはあんまり賛同できないんですが、それはまぁ置いといて。

この作品の特徴は、なんと言っても度々出てくるちょっとディープなサッカーネタです。正直言うと読む前は、どうせミーハーな海外厨の作者が描いてんだろうと思ってましたが、今中とヒロインの雨ちゃんが山瀬功治を熱く語り出した時点で考えを改めました。
海外サッカーのネタはもちろん、Jリーグのネタまで幅広くラインナップされてます。漫画は好きだけど現実のサッカーには興味がない人にはワケワカメな部分もあるかもしれませんが、私のように国内・海外問わずに広く浅くサッカー観ている人にはドンピシャな作品だと思います。

 

ヒロインは年下のコーチ

そしてもうひとつ、特筆すべきなのが前述のヒロイン・雨宮雨ちゃんが可愛いこと。
雨宮監督の娘で中学3年生、サッカー経験者でサッカーオタクな、ちょっと太めのふとももがチャームポイントのクールな女の子です。
前監督政権時には中3ながら高校のマネージャーをやってましたが、父親が監督になってからはコーチに出世。中3女子がコーチだなんて反発が出そうなもんですが、なぜか普通に受け入れられてます。

雨ちゃんと今中のラブい展開も今後は期待できそうなので楽しみですが、今中の練習に付き合った時に見せた異常なスタミナの無さが、健康面に問題を抱えてるという前振りなんじゃないかと心配しています。ムチムチのふとももは健康そのものなのにねぇ…。