一石二万鳥

おすすめ漫画と足フェチ漫画と

森山大輔『Mourning Bride』1~2巻感想 血と鉄と絆の朝食 with 喪服の花嫁

作品概要

タイトル:Mourning Bride
著者:森山大輔
出版社:講談社(マガジンエッジコミックス)
巻数:1~2巻(以下続刊)

マフィアのボスが残した遺産の相続権を賭けて、4人の孫たちがゲームを繰り広げるクライム・ミステリー

 

あらすじ

巨大マフィアグループ「コルサーノファミリー」のボスであるドン・アーロンが亡くなり、その遺産相続候補として召集されたドンの孫である四人の兄弟たち。
訪れたドンの屋敷で彼らを待っていたのは、ドンの婚約者を名乗る謎の少女・マリカと、「遺産の継承者の選定をマリカに任せる」という遺言でした。

そして選定方法として挙げられた意外なルールは「毎週日曜日に四兄弟そろってマリカと朝食をとること」、それから「朝食の席で出される命題を皆で解決すること」、この2つを1年間続けるというもので…。

 

感想(ネタバレ度:低)

若くてイケメン揃いのマフィア四兄弟

マフィアがボスの座を争うと聞くと、血で血を洗うドロドロの抗争劇を想像してしまうもの。
ところが本作の四兄弟は理性的であまりマフィアっぽさが無い上に、兄弟の仲も良好なので、マフィアの跡目争いがテーマの作品とは思えない、コメディ要素多めで和やかな雰囲気です。みんなで仲良く集まって朝ご飯ですからね。

f:id:torimomo_d:20190709212853j:plain

出典:森山大輔 著『Mourning Bride』1巻 / 講談社

マフィアっぽさのカケラも無い朝のひと時。
朝食後の命題(ゲーム)も、物を探したり写真を撮ったりと子供のお使いのようなユルい内容ばかりです。
4人で遺産を賭けて争っているはずなのに、みんなで朝食を囲んで一緒にゲームをクリアして、逆に絆が深まってるような印象です。

見た目もマフィアらしからぬ、育ちが良さそうで上品な四兄弟ですが、長男・アランと三男・クリスの見た目が似ていて、時々どっちか迷うことがあるのは困りもの。
兄弟なんで似ていて当たり前なのかもしれませんが、ここは漫画的に割り切って分かりやすさ優先のデザインにしてもらいたかった……と最初は特に思いました。
しかし徐々に微妙な修正が行われたのか、話が進むにつれて2人を見間違えるようなことも無くなりました。
そのあたりは流石プロの漫画家さんの仕事ですね。 

マリカの可愛さ プライスレス

見た目と言えば、ドンの婚約者であるマリカちゃんはかなりの美少女。年齢はなんとピッチピチの16歳です。
1巻を読む前日くらいに金曜ロードショーで『ルパン三世 カリオストロの城』を観たばかりだったので「まーたロリコンの権力者か…」と思っちゃいましたが、単なるジジイの好色ではない重要な秘密がこの娘には隠されていそうです。

伯爵だって財宝が目当てなだけで、別にロリコンってわけじゃないだろ。

そうね、ロリコンは監督のハ〇オだけよね。

おいやめろ。


タイトルの『Mourning Bride(モーニング ブライド)』についてですが、最初見たときは「朝」のモーニングかと思っていたんですが、どうも綴りに違和感があったんで調べたら「喪」という意味のようです。Brideは「花嫁」ですね。
つまりマリカちゃんのことを指しているのでしょう。

ドンが後継者に継がせる「2億ドル相当の遺産」というのは彼女のことでしょうか。
確かにマリカちゃんの可愛さにはそれくらいの価値があっても不思議じゃないですが。

どこの馬の骨とも知れない小娘の言うことに、マフィア達がさしたる反発もなく従っているのはいささか情けない気もしますが、亡くなってなお衰えを知らぬドンの威厳に加え、時折見せるマリカの狂気じみた一面と「只者じゃない感」がそうさせるのでしょう。
穏やかな空気が時々ピリッとした空気に変わる、そのギャップがこの作品の魅力でもあります。

オリンピックまでには

その穏やかな空気と適度な緊張感のバランスが個人的には好きなんですが、やはりテーマがテーマだけに徐々にシリアスな方向に話が進んで行きそうで心配です。
それまでコメディ色が強かったのに、2巻の後半くらいから普通にマフィア漫画っぽい展開になってきてしまいましたし。終わり方も不穏でしたしね…。

てか、3巻は2020年の春かよ。
先は長ぇな。

2巻の予告は2018年の秋だったのに、実際出たのは2019年の初夏よ。
もっと伸びるんじゃないかしら。

な、なんだってー!
そんなのオイラ待ちきれないよ!


※2020年4月追記
そろそろ新刊が出るころかな……と思い調べて見ると、去年の夏に連載が中止になっていました。理由としては詳細は不明ですが、連載中止のお知らせを見る限り、どうも編集部とひと悶着あったようです。 「編集部に対する信頼関係を取り戻せず」という書き方なので、非は編集部にあるっぽいですが……はたして。
残念ながら3巻も出ないようで、未完のまま終了となってしまいました。

 

まとめ

マフィアが題材なのにマフィアっぽさが無いほのぼの空間、その裏に大きな「謎」が潜んでいて時々不穏な空気が染み出してくるという、そのメリハリが楽しい作品です。

ただ、2巻の後半くらいからマフィアの抗争という、「謎解き」からちょっと離れた方向に進んで行ってるようなのが気がかりです。
これも謎を解くための寄り道で元のルートに戻るのなら問題はないんですが、なんせ刊行ペースが遅いんで寄り道だけで数年経ってしまいそうなのが恐ろしい。

ebookjapanで見る