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古舘春一『ハイキュー!!』42巻感想 変わるなら劇的に

作品概要

タイトル:ハイキュー!!
著者:古舘春一
出版社:集英社(ジャンプコミックス)
巻数:42巻(以下続刊)

低身長・高身体能力の主人公をはじめ、バレーボールに魅せられた個性豊かな男たちによる高校バレーボール漫画、その42巻。

 

あらすじ

春高準々決勝・鴎台戦の終盤、体調不良によってコートを退くことになってしまった日向。これまでの激闘で満身創痍の烏野は、選手層の薄さが徐々に露呈し始めて……。

春高バレー編完結、そして新章へ。

 

感想(ネタバレ度:高)

勝手な思い込み

新規タイトルの1巻以外では久しぶりとなる単巻の感想になります。

私が『ハイキュー!!』を読み始めたのは割と最近だったりします。
それまではタイトルくらいは知ってましたが、バレーボール自体にあんまり興味が無いことと、何より作品に対して漠然と良くないイメージを抱いていたので、読もうなどとは思ったこともありませんでした。

良くないイメージってのは、ひとつは主人公たちが技名を叫びながら必殺スパイクをカマすような色物スポーツ漫画だと勝手に思い込んでたこと。
もうひとつは腐女子の方々に人気があると聞いていたので、男共が無駄にベタベタしてる軟弱な漫画だと思っていたことです。

しかしある日、電書の購入に利用しているeBookJapanで1~12巻が無料で読めるというキャンペーンを目にして、

まぁタダなら読んでみっか?

くらいの気持ちで、なんとなーく読んでみると……。
これが想像とは全く違って、リアル指向の骨太なスポーツ漫画で超面白い。
あっという間に無料分を読み終わり、その後は無料で読んだ1~12巻を含めて最新巻まで全冊買い揃えて貪るように読みました。

いやー、しかし先入観って怖いですね。
無料が無ければ、こんな面白い作品を読むことなくこれからも過ごしていたでしょうからね。
感謝すると同時に、よく見かける期間限定の無料キャンペーンってこういう効果があるんだと、身をもって実感しました。

 

敗者たちの栄光

前置きが長くなりましたが、42巻の感想を。
思いっきりネタバレしてるので、まだ読んでない方は注意してください。

さて、前巻の流れから分かってたこととは言え、烏野高校が敗退します。

私は全国大会が始まった時から、どのタイミングでどうやって烏野を敗退させるのかが非常に気になっていました。
まさか作者さんも全国優勝させる気は無いでしょうし、個人的にもして欲しくないと思っていたので、まずはしっかり負けてくれたことにホッとしました。
烏野の躍進は嬉しい反面、あんまり順調に勝ち進み過ぎると「そんなうまく行かねーだろ」と、ちょっと冷めちゃう気がしたので。

負け方自体も選手層が薄いという烏野の弱点がモロに出た負け方で、スコア的には接戦を演じながらも勢いとかではどうにもならない地力の差を感じさせる、とても良い負け方だったと思います。

敗退後は思ってたよりアッサリでしたが、辛気臭くなり過ぎず高校の部活スポーツ物らしい爽やかさで、クドい描写で感動を煽るような描き方よりもよっぽど感動的でした。
私は感受性が低いのか物語を観たり読んだりで泣いたことが無いんですが、今回は珍しくグッとくる部分がありましたね。

結局泣いては無いんかい。

まぁ会社で「血も涙も無い男」って言われるくらいだから…。

そもそもラブコメや日常系ばっかりで、泣くようなものを読んでないですけどね。

 

アザラシが過ぎる

私のことはどうでもいいとして、問題はこの後です。
てっきり3年生が卒業し、新1年生を迎えて新体制となった烏野の活躍が楽しめると思いきや……なんと、物語は2年後までスっ飛びます

日向たちの残りの高校生活はダイジェストのみ。高校を卒業した影山はプロになり、日向は単身ブラジルに留学したところから物語は再スタートします。
これには、

え…なんっ…マジで?

ってなっちゃいましたね。

いや、理屈としては分かるんです。
改めて地区予選から全国大会の流れを1年目と同じ熱量で描き上げるのは難しいでしょうし、読む方としてもさすがにマンネリ感は否めないでしょう。
なにより卒業していった3年生たちの穴を埋める魅力的なキャラを用意しなければならないというのは大変だと思います。
この先も作品のテンションを保つためには何かをドラスティックに変える必要がある。そういう意味ではこの展開にしたのは正解なんだと思います。

それでもねぇ……やっぱり2年生になった日向たちを見たかったってのが本音です。
新章も楽しみではありますが、正直言って今までのような「次も早く読みたい」って感覚は薄いです。
まぁでもこっからまた盛り上がっていくんでしょうね。期待して待ちます。

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