作品概要
タイトル:映写室のわかばさん
著者:青山克己
出版社:マッグガーデン(MGC Beat'sシリーズ)
巻数:1巻(以下続刊)
レトロな映画館で働く映写技師のわかばさん。
汗だくになりながら頑張る彼女と、そんな彼女に魅了された人々を描いたお仕事系の日常物です。
レビュー ★★★☆☆
- クールに見えて、意外と表情豊かなわかばさんが可愛い。
- タイトルこそ「わかばさん」の名を冠してはいますが、わかばさんは主役ではなくモチーフであり、主役はわかばさんを見守る人々です。
- 一話完結型で主役が毎回入れ替わり、その主役の視点で話が進んでいくスタイル。縦軸となるメインのストーリーは今のところ無し。
感想(ネタバレ度:低)
カワイイあの娘は映写技師
自分の無知を晒すようで恥ずかしいですが、この作品を読むまで映写技師という職業を知りませんでした。
私も昭和生まれの人間なので、もちろんフィルム映画には馴染みがありますが、映写機なんてビデオテープみたいにセットしてボタンを押せば勝手に映してくれるものだと思っていました。
まさか特別な技術や知識(昔は国家資格だったらしい)が必要な作業だったとは思いもしませんでした。
そんな映写技師も映画のデジタル化の波に押され、減少の一途を辿っているようですが、本作はそんな映写技師であるわかばさんの働く様子を描いた作品です。
わかばさんは無表情で不愛想という、いわゆる「塩対応」なクールビューティーですが、ときおり見せる笑顔やクールとは程遠い素の表情がたまらなく可愛いです。
そして何より、タンクトップにショートパンツという格好で、酷暑の映写室の中で汗だくになって仕事に励むわかばさんの健康的なお色気は、本作の最大の見所といっても過言ではないでしょう。
野獣の瞳に映るもの
しかしここで問題がひとつ。
先に書いた通り、本作の主人公はわかばさんではなくて、わかばさんの魅力に取り憑かれた男たちです。そして若葉さんの姿は、ほとんどがその男たちの視点を通して描かれています。
つまりお色気要素が多いということは、それだけ男どもがヤラシイ目でわかばさんのことを見ているということです。
普通に職場で働いているだけなのに、これだけ多くの野獣の視線に晒されているなんて、可愛い女の子って大変ですね。
私としてはわかばさんの可愛さに集中したいところなんですが、スケベ男たちの主観で話が進んでいくため、要所要所で男どものモノローグが乗っかってくるのも悩みの種。
私はわかばさんの日常が知りたいのであって、野郎どもの頭の中が知りたいわけではないのです。
ちょっと気になったんだけど…
この漫画のお色気シーンって、フトモモとか素足とかに偏ってないか?
たしかに。
わりと豊満なおっぱいはスルー気味で、下半身にフォーカスしている場面が圧倒的に多いわね。
つまり…
この作品の男どもは、総じて脚フェチであるということか!
ふーん
あんたと同類じゃん。
わかばさんを堪能したくて読んでいるはずが、この「主観は男」という特性のおかげで作品を噛みしめれば噛みしめるほど、染み出てくるのは男味。なんで知りたくもない野郎どもの性癖を知らなきゃならんのか…。
そんな中で一服の清涼剤となったのが第五話です。
ピンク映画を上映する話なんですが、ここだけ女性の視点で話が進んでいくのでノンストレスで読めた上に、性的なことに興味が無さそうなわかばさんの意外な一面を見れた話でもありました。
この話を男視点で描かなかったことに関しては作者さんに感謝したいです。
まとめ
いつもながら批判の多い感想になってしまいましたが、わかばさんは文句無く可愛いかったです。
そもそもこんな特殊な見方をする人は少ないと思うので、表紙を見てピンときた方は読んでみて損は無いでしょう。
でも表紙のバリバリのキャリアウーマン風のわかばさんって、本編とイメージ違くない?
あんまり否定ばかりすると、この作品が嫌いだと思われるわよ。
全然嫌いではなくて、むしろ楽しく読めました。
だいたい私が望むような、男を排除してわかばさんの可愛い日常を淡々と描く内容にしていたら、無味無臭のつまらん作品になっていたでしょうからね。
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