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柚原もけ『安達としまむら』1巻感想 テンポが速すぎなんだばしゃあああ

作品概要

タイトル:安達としまむら
著者:柚原もけ / 漫画  入間人間 / 原作  のん / キャラクターデザイン
出版社:アスキー・メディアワークス(電撃コミックスNEXT)
巻数:1巻(以下続刊)

人間関係に煩わしさを感じてクラスに馴染めず授業をサボりがちな女子高生2人の、ほのぼの日常百合物語
2020年にアニメ放送予定

 

あらすじ

授業をサボるために訪れた体育館の2階で出会い、一緒に過ごすようになった安達しまむら

人付き合いが苦手な者同士、適度な距離感を保ちながらサボり仲間として仲良くやっていた2人でしたが、次第に安達はしまむらに対して特別な感情を抱くようになり……?

 

感想(ネタバレ度:中)

速過ぎてマジで見えねェ!!

女の子同士らしからぬサバサバとした関係性ながらも、随所に百合の予感を感じさせる。そんな試し読みで読んだ序盤の空気感が好印象で購入しましたが、全体を通して読んでみると……。
なんと言うか、非常に「もったいない」と感じました。

女の子は文句無く可愛いんですが、とにかく話の展開が速すぎるのです。

原作はライトノベルということで本作はそのコミカライズ版となるわけですが、原作を読んでいればそちらと内容を補完しつつテンポ良く楽しめるのかもしれません。
しかし全くの未読組としては、かなりの置いてけぼり感を感じてしまいました。

特に付いて行けなかったのが安達の豹変ぶりです。
第二話であることをきっかけにしまむらに対する好意が突然MAXになるんですが、クールビューティーだった第一話から、第二話に入った途端に空回り気味な恋する乙女にジョブチェンジしてしまいます。

その結果、私が好印象を抱いた第一話の空気感、付かず離れずな2人の距離感はあっと言う間に崩壊してしまいます。

第一話における安達としまむらの距離感を図で表すと……。

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こんな感じです。
このベタベタしすぎない、絶妙な距離感が良かったんです。

ところが第二話以降は、いきなりこう。

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縮地かよ。

さすがコミュ障の安達ちゃん。
人間関係の距離の詰め方が分からないのね。

恐らく原作ではもう少しゆっくり、安達の心情の変化が描かれているんだと思うんですけどね。
さっさと女の子同士のラブラブな関係を描かないと打ち切りにされてしまう、そんな危惧がテンポを速めているのかもしれません。

個人的には第一話でたったの1コマ、しまむらのモノローグで済まされてしまった、
「なんせまだ出会って数ヶ月 ほぼ体育館での付き合いだ」
の、その数ヶ月間の出来事を含めて第一話の内容を丸々1巻使ってゆっくり進めてほしかったです。

あと面食らったのが「なんだばしゃあああ」ですね。
原作組からしたら、

名言キターーーッ!!!

って場面なのかもしれません。
しかし未読組としては唐突すぎて、

安達ちゃん壊れた!?

と思っちゃいました。
あれは作中で流行ってる言葉なのか、それとも方言なのか。
泣きながらむせてる安達ちゃんは可愛かったですけどね。可愛けりゃなんでもいいか。

あとは宇宙人関係。
ただでさえテンポが速いのにさらに要素を詰め込んだ感があり、いまのところ削った方が良かったんじゃなかろうかという印象です。
作者さんのあとがきを見るに、ページ数の関係で色々なシーンの取捨選択で迷ったようですが、その上で残してあるということは今後のキーパーソンとなるのかもしれませんけどね。

 

なお、持ち帰った缶は飾る模様

ここまでの書き方だと、ポンコツ化した安達にガッカリしたのかと思われてしまうかもしれませんが、決してそういうわけではありません。単にそこに至るまでが早すぎることが不満なだけで。

第一話の空気感が好きなのは事実ですが、キャラ単体で見れば第一話の安達よりも第二話以降の安達の方が好きです。恋する女の子が可愛くないわけがないですからね。
己の感情に振り回されて行動も空回り、赤面して悶絶する安達はとても愛おしいです。

同じコミュ障としては、人付き合いが苦手ではあるものの社交性があるしまむらよりも、どうしても安達ちゃんの方に肩入れしてしまいます。

私服が微妙にダサい感じがするのも親近感がわくよな。

服屋に着ていく服も無いヤツに親近感もたれても。

しまむらが飲んだジュースの空き缶をコッソリ持ち帰るなど、ヤンデレの素養がありそうなのも味わい深いです。

 

まとめ

女の子は可愛い、作品の雰囲気も良い。
ただ一点、展開が速すぎることだけが残念でした。

端折ったところも丁寧に描いてさえいてくれれば、個人的には年間ベスト10に食い込んでくるくらいのポテンシャルを感じただけに非常に残念です。
これは原作を読めということなのか……。

2020年にアニメが放送されるらしいので、それに向けての予習という意味ではテンポの良い本書は最適かもしれません。

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