作品概要
タイトル:終末のワルキューレ
著者:アジチカ / 作画 梅村真也 / 原作 フクイタクミ / 構成
出版社:徳間書店(ゼノンコミックス)
巻数:1~4巻(以下続刊)
神の意志により人類700万年の歴史に終止符が打たれんとする中、人類の存亡を賭けた「神 vs 人類」のタイマン勝負を描いたバトル漫画です。
あらすじ
1000年に一度、全世界の神々が一堂に会し開催される「人類存亡会議」にて、地球を汚し過ちを繰り返し続ける人類の「滅亡」が決定されようとしていた。
それに待ったをかけたのは、戦乙女(ワルキューレ)の長姉・ブリュンヒルデ。
本来ならば議論に口を挟めるような立場ではないブリュンヒルデですが、プライドの高い神々の性格を巧みに利用し、神と人類によるタイマン勝負「神 vs 人類最終闘争法(ラグナロク)」に持ち込みます。
人が神に勝てるはずがない。
誰もがそう思うなか、人類の存亡を賭けた戦いが始まるのでした。
感想(ネタバレ度:低)
13番勝負の登場人物
「神vs人類最終闘争法」とは。
神代表の13柱と人類代表の13人が順番に1対1で勝負。
先に7勝を上げた方が勝利で、人類が7敗した時点で「滅亡」が決定、人類が勝利すれば次の1000年の生存が認められるという方式です。
初戦の対戦カードは「北欧神話最強・トール vs 三国志最強・呂布奉先」という好カード。それぞれ神話や逸話を織り交ぜながら、のっけからテンションMAXのとんでもない戦いが展開されます。
これだけでもうお腹いっぱいって感じなんですが、1巻の最後では神と人類それぞれの代表、計26人の出場者が判明します。
これが実に興味深いラインナップで、特に人類側は予想もできないような人物ばかりです。
人類代表 13名
・始皇帝(紀元前221年に中国統一を成し遂げた最初の皇帝)
・レオニダス王(古代ギリシア・スパルタの王。少数で大軍と渡り合う)
・ニコラ・テスラ(オーストリア帝国の天才発明家。エジソンのライバル)
・佐々木小次郎(宮本武蔵のライバル。本作では死後も鍛えるストイックじいさん)
・ジャック・ザ・リッパー(19世紀イギリスの連続猟奇殺人犯。劇場型犯罪の元祖)
・アダム(神によって作られた最初の人間。本作では拳で語るはっぱ隊)
・雷電為右衛門(江戸時代の最強力士。生涯戦績254勝10敗2分 勝率.962)
・沖田総司(新選組一番隊組長のイケメン天才剣士。若くして病死)
・グレゴリー・ラスプーチン(ロシア帝国の怪僧。巨根らしい)
・ミシェル・ノストラダムス(医師にして占星術師。1999年人類滅亡の予言で有名)
・呂布奉先(三国志最強の武将。本作では先鋒として雷神トールと死闘を演じる)
・シモ・ヘイヘ(フィンランドの凄腕スナイパー。500人以上を射殺)
・坂田金時(幼名・金太郎。くまにまたがりおうまのけいこ)
日本勢が多い気がするけど面白い人選だな。
いやいや。
テスラやノストラダムスがどうやって戦うのよ。
テスラは電気だろ。
ノストラダムスは…予言書で殴るとか?
本の角はたしかに痛いけど。
まぁオレ達が知らんだけで、意外と肉体派なのかも知れんぞ?
…ググったらヒョロいおっさんが出てくるけど。
ならば箸休め的に頭脳対決とか超能力対決でもあるんじゃないか?
それはあるかもね。
でも神側の代表が割と脳筋っぽいのばかりなのよね。
ちなみに神側は以下の13柱です。
神代表 13柱
・ゼウス(ギリシア神話の主神。本作では愉快でキレやすいファンキーなクソじじい)
・釈迦(仏教の開祖。戦いとは無縁の穏やかなイメージしか無いが…)
・ロキ(北欧神話のトリックスター。本作では急にキモい顔になるヤバそうなヤツ)
・アポロン(ギリシア神話の太陽神。弓が得意)
・ポセイドン(ギリシア神話の海神。本作では若作りで顔色の悪いクソじじい)
・スサノヲノミコト(日本の神話に出てくる暴れん坊の神様)
・ヘラクレス(ギリシア神話の半神半人の英雄。12の試練が有名)
・トール(北欧神話の雷神。本作では神側の先鋒として、凄まじい強さを見せつける)
・毘沙門天(インドにルーツをもつ日本の武神。四天王の一つ)
・アヌビス(エジプト神話の冥界の神。犬みたいな顔のやつ)
・オーディン(北欧神話の主神。本作では両肩のカラスに代弁してもらうコミュ障)
・ベルゼブブ(聖書に登場する大悪魔。世界で一番イケてるハエ)
・シヴァ(ヒンドゥー教の破壊神。本作ではダルそうでチャラそうな兄ちゃん)
こっちは超メジャー所ばっかりだな。
ソシャゲで名前を見かけそうなやつらばかりね。
サプライズは釈迦くらいか。
…というか、そもそも釈迦って神なのか?
普通に考えたら人間側の人材よね。
こまけぇこたぁいいんだよ!
神vs人間ではマトモに勝負すればさすがに勝ち目が無いということで、人間側には「神器」と同等の特殊な武器が与えられます。
逆に言うと、神と人間の差は武器の性能差だけということになるので、冷静に考えるとおかしいような気もしますが……。
そんな些細な疑問は、作品の持つ圧倒的な熱量で燃やし尽くしてくれます。
初戦の「トール vs 呂布」に続き、2回戦の「ゼウス vs アダム」3回戦の「ポセイドン vs 佐々木小次郎」も激アツ。4回戦として予告されている「ヘラクレス vs ジャック・ザ・リッパー」も楽しみです。
ただ、今のところ完全にバトル特化で、全体を通してのストーリー的な物がほとんどありません。頭を使わずに楽しめる反面、これが13戦続くとさすがに飽きそうな気がします。
最後までこのテンションが持つのかどうかだけが心配ですね。
まとめ
普段は女子中高生が主役の萌え漫画を主食としている私としては、致死量を軽く超える漢臭と筋肉祭りの燃え漫画ですが、とても面白いです。
たまにはこういう作品を読むのも良いもんですね。
「だけどやっぱり萌え要素が無い漫画は読む気しないよう!」という、どうしようもない萌えジャンキーの方のために、あえて萌え要素を挙げるとしたら戦乙女の存在ですかね。
特に主役格のブリュンヒルデ姉さまは、とっても麗しいですよ。顔芸が激しいですが。
そういえば神側にも人類側にも女性がいないですね。
1組ぐらいは女性対決も見てみたかった気もします。